かつひこ日記NOW

2016/06/17

「復活」

私は、人間が変わったように、何だか、毎日が一日一日嬉しくなって来ました。改めて、生きてる自分を見つめ直しました。それからは、何だか、何でもが恵まれていると思えて、食事もありがたく食べれるようになりました。何でもがおいしいのです。よく眠れるようにもなりました。トイレに行っても、小便が出たら、「ありがとう、よくぞ、私のために、働いてくださったなあ」と思えました。とにかく、無事に今日があるということが嬉しくてなりませんでした。なにもかもめでたくてしょうがなかったのです。それからはありがたいと感謝していることが多くなったのでした。今まで、情けないと悔やんでいたことが、何だったんだろうかと思えました。よくぞ、生かしてくださっていると思えました。生きてるだけで、凄いものだと思えました。外へ出たら、回りの木の葉達がキラキラして私を祝福してくださっていたことを忘れません。それに、鳥も花もでした。空の雲達もです。私は励まされていると思いました。
彼は、私に、生かされていることを気付かせるために、死んでいってくれたのではないかとも思えました。彼は、確かに勿体ない人生だったかも知れないけど、いや、そんなことはないと思いました。彼は私に 命の尊さを気付かせただけでも、凄いことだと思えました。

「やれる」

不思議でした。私は、何でも、出来るような気がして来ました。「生きてるだけで、こんなにも、祝福させていただいているのですから、絵を描かせていただいてもいいのだ」と思えました。どうして、今まで、絵が描けなかったのだろうと思いました。私は、生かされてることの貴さに気付かなかったからだと思えました。何でもいい、直ぐ絵を、描きたい気持ちになりました。下手でもいいのだ。下手だろうが、生かされてるんだ。それままでもすばらしいのだ。私は、今まで見てきた画家達の絵が、わかったような気がしました。「皆、喜びを、表してるのだ。」「生かされていることに感謝している絵だ」と思えました。何でもいい、私は私の喜びを描いて行こうと思いました。生かされていることをそのまま描こうと思いました。祝福されていることの喜びをいっぱい描きたいと思いました。速くここを出たいと思いました。外へ出て、外の風や、空気、空にかこまれたいと思いました。そして、大自然からの祝福を受けたいと思いました。

「退院」

「定期的に診察の日が来ました。レントゲンを撮りました。先生が、「可笑しいなあ」と言うのです。「可笑しい、可笑しい」と何回もいいながら、「実はね、君の空洞がないんだよ。空洞が消えているんだよ」と言うのです。「どうしてこうなったのかなあ」と、ひとり呟いていました。私は、黙っていました。「彼が私を元気にさせたんですよ」と言いたいくらいでした。私は、ここを出たいと思いました。ですから、先生に相談しました。しかし、直ぐには「うん」とは返事して貰えませんでした。しかし、こんなところにいつまでも居てはならないと思いました。ですから、私の方から「出さして貰います」と強引に頼みました。先生は「死んでも、知らんよ」と言ってましたが、出させてください ました。


「大学復帰」

自宅に帰って来て、久しぶりに、懐かしい故郷を楽しみました。釣りに行ったり、隣りの医者の先生と囲碁をしたりして、学校の休暇が、丁度一年半というところで復帰できました。同級生は、もういませんでしたが、ストレートに卒業出来ない連中が残ってくれていましたので、淋しいことはありませんでした。それにいつも神様が祝福してくださっているからです。友人が、いいアルバイト先を紹介してくれて、早速、そこへご厄介になりました。そこは、鳥取一の大きなふとん店で、守衛として雇われたのです。何も、重労働はありません。ただ、夜に入って、朝までの勤めです。ありがたい仕事でした。昼間は、大学に居て、夜だけふとん店に戻るという生活でした。
私は、絵をどんどん描くようになりました。展覧会にも出品するようになりました。彫刻も手掛けました。初めて出品した「女性像」が、鳥取県教育委員会賞を、授賞したのです。それは、まともな、写実的な作品でした。絵画の方も、大作を3点出しました。それ迄は、出品したことがなかったので、皆が喜んでくれました。しかし、全く理解に苦しむような作品ばかりだったのです。

「特殊学級」

大学の私の部屋といっても、私が、勝手に自分のアトリエにさせてもらっている部屋なのですが、その近くに、大学附属の特殊学級という教室が、ありました。そこは、知能指数の低い子供達だけの30人くらいのクラスでした。私は、直ぐ近くだったものでしたから、ついつい、お邪魔するようになったのです。行くと、皆が、とても喜んでくれたのです。私も何だか、うまが、合ったのです。居ると安心するのです。何故かわからないのですが、気分がいいのです。担当の先生も好きでした。「何時でも来てくれや」と言われたものですから、だんだん、甘えて、毎日のように行くようになったのです。それだけではありませんでした。給食が、あったのです。お腹のすく、私には、ありがたいところでした。彼らと遊んで、しかも、食事付きです。恵まれていました。彼らと、絵を、描くのです。それが、私には、特に嬉しい時間だったのです。なにしろ、すばらしい絵ばかりだったのです。ひとり、私の担当のようになった子が、いて。彼とは、毎日、一緒しました。一緒に絵を描くのです。彼は、描いた絵を、私に「見ろ」と言うのです。丸、ひとつです。また、丸、ひとつ、さっと描くのです。その度に私に、「見ろ」と催促するのです。
私が、感動したことは、ひとつ描いたら、「にっ」と、笑うのです。それが、実に、嬉しそうな顔なのです。本当に、幸せそうな顔なのです。「どうだ凄いだろう」と言わんばかりの顔なのです。これには、恐れ入りました。完全にお手上げです。「恐れ入りました」と思ったのです。私は、「これだ」と思いました。これが、「絵を描く」と言うことだと思いました。丸ひとつ描いて、嬉しいのです。これでいいのです。これ以上のものはありません。最高だと思いました。描けたものは、何だっていいのです。要は、自分が、嬉しいかどうかです。いくら、上手に描けても、本人が、嬉しくないのなら、何にもならないのです。ピカソもマチスもルオーも、ゴッホも皆、自分が「嬉しいのです」。作品が、それを訴えています。自分の喜びを、もろに表現しています。私は、彼から絵というものの、肝心なところを、教わったのです。絵の見方を、具体的に態度で教わったのです。ありがたいことでした。絵の見方を具体的に、教えてくれたのですから。
ある日、いつも来なければならない時刻なのに、彼が表れません。「佐藤君その辺を、見て来てくれないか」と先生にいわれました。私は、彼が、居そうなところはわかっていました。「あそこだ」と直ぐ、ピーンと来たのです。彼の居場所は、山陰線が通る、踏切のところです。案の定、彼はまるで交通整理のお巡りさんでした。笛は持っていませんが。チンチンと鳴って、遮断機が、降りて、特急が通りすぎる、そして、人と車が渡る。しばらく待ってると、また、チンチンと鳴り出す。遮断機が上がったら、彼が、先頭になって渡るのです。なかなか、そこを離れれなくなるのです。学校への道中でしたから、時にはそんな事になるのでした。相変わらず、案内をやっておりました。嬉しそうな顔をして立っていましたので、「ごくろうさんでした」と声をかけまして、「ぼちぼち行こうか」と促しました。彼は満足そうでした。
途中、高圧線の鉄塔が、見えるところが、ありました。「あっ、東京タワーだ」と叫んで、私に指差して言いました。「すごいあ」「すごいなあ」「東京タワーだ」「東京タワーだ」と二人とも叫びながら、教室迄、無事到着しました。
よく、ザリガニ釣りもしました。カエルを餌にして釣るのですが、実によく釣れるのです。すぐに、バケツに一杯になるのです。それを教室へ持って帰って皆で写生したり、一緒に遊んだするのです。また、いい絵が生まれるのです。すばらしい作品ばかりでした。遊んだら、また前の溝に返すのです。
大学は、昔の軍隊の兵舎で、大学移転のために、あちこち、建物を壊し始めていたのです。木造校舎でしたから、私には、嬉しいものが沢山ありました。古い材木が、ふんだんにあったのです。私は、それを使ってオブジエを作ったり、キャンバスがわりに窓枠にベニヤ板を張ったり、あるいは、板切れに絵を描いたり、私にとっては宝の山だったのです。壊し始めているところから、使えそうなところを貰うのです。部屋へ持って帰って来ては、それに絵を描くのです。毎日、そんな事をしていましたので、作品が、どんどん溜まっていったのです。空き部屋もあったので、そこを倉庫に使わせて貰いました。これは、何かの導きだと思えるほど、ありがたいことだったのです。作品を作りたくて、たまらなかった時でしたから、よけい、嬉しかったのです。病気する前に、ほとんどの単位を、取得していましたから、時間がふんだんにあったのです。ふとん店の守衛もしていましたから、父母からの送金は要らなかったのです。ですから、こんな恵まれた環境はないと思いました。私は、出来るなら、ここへ、ずっと、とどまっていたいと思いました。結核出身の学生に、就職はないと思っていましたので、ここに、このまま、居れたらなあ。と思っていました。

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