かつひこ日記NOW

2016/06/05

農業の手伝い」

引き揚げ者の農業と言うものは、道具がないのです。田を耕すにしても、牛がないのです。よそは牛が耕していましたが、私の家では、人力です。私は、鍬をもっても、なかなか、思うようには行かないのです。その頃の体力では、私には、クワは重たかったのです。しかし、我が家は、家族で田を耕しました。母が貰った、田んぼは、山奥の辺鄙なところにありました。でも、父にとっては、ありがたい田んぼだったのでしょう。大切に耕して、苗を植えることができたのです。夏休みは、毎日が草取りです。稲の中にヒエが伸びているのです。ヒエはとらないと栄養分を取られてしまって、稲が育たないのです。ですから、人力で、一本、一本抜き取るのです。それと、水草取りです。小学校時代ですが、腰を曲げ続ける仕事ですから、腰が痛くなるのです。一番、辛いことは、ヒルと言って、血を吸う、ふにょふにょした、生き物がいるのですが、これが、私みたいな子どもの皮膚を好むらしく、ちょっとでも油断すると、あっという間に、数匹もたかるのです。つまんで、一匹一匹取るのです。ちょっとでも、遅れたら、血を吸って丸丸に太っているのです。気持ちが悪いし、捕った後にも血が流れるのです。こんな仕事は、したくないと思ったものでした。それほどのきつい仕事だったのです。まさに、重労働だったのです。夏休みの、かんかん照りの中での仕事は、腰は痛いし、ヒルには喰われるし、さんざんな目に会いました。くたくたになって、土手に休むのですが、そのやすらぎは今でもはっきり覚えています。本当に、極楽とは、こういうものなのだと思えました。

「不思議な体験」

そんな時、不思議な体験をしたことがあるのです。くたくたになって、土手と言うか丘のような少し広い空間で、身体を伸ばして、手も広げて、空を眺めておりました。眠ったのでしょうか、わからないのですが、父母も同じように身体を伸ばして休んでいました。とにかく、まわりは森と山の中の田んぼです。おそらく、一番高いところの田んぼだったのでしょう。遠くに中国山脈が実に美しく見えるところでした。一番上に、小さなため池があって、そのすぐ下の小さな段々畑のような田んぼだったのです。美しい最高の場所だったのです。美しい景色の中に仰向けになって、寝そべっていましたら、身体が急に浮いたような感じがしたのです。フット浮いて、しばらく、そのままの状態だったように感じたのです。最高に気持ちが良かったのです。丸で宙に浮いて、止まっている感じなのです。私にとって、こんな気持ちのいい体験は初めてでした。おそらく、それだけ疲れ切っていたからでしょう。しかし、この気持ちのいい、宇宙遊泳のような体験は、ずっと今でも、夢だったか、現実だったか、わからないのですが、しかし宙に浮いた体験は忘れないのです。その気持ちの良さに忘れずにおれないものがあるのです。不思議です。もう、70年近く前の体験ですが、身体が忘れないでいるのです。

「楽しい夢と、いやな夢」

私は、ずっと、それも長い間、夢でうなされた時代がありました。それは、小学校の時だと思います。苦しい夢は、私の側にいつも、死体が寝ているのです。恐い夢でした。夜の間に、知らないうちに人を殺したのかという、そんな、恐い夢が、私を襲うのです。ですから、眠るのが怖かったのです。どうしてそうなったのかわからないのですが、死んだ人が私の側にいるのです。私が殺したのだろうか、と、いつも思いました。辛い、恐い夢です。しかし、その夢はけっこう、長く続いたのです。寝ると、また、見るのです。
その次は、私が、空を飛んでる夢でした。ゆっくりゆっくりと、まるで、宇宙遊泳のように、ふわふわと飛んでいるのです。いつも降りる時、電線に引っかからないかと気を使いました。左右に方向転換するのは楽なのですが、上下の運転は難しいのです。私は手を広げて、グライダーのように飛ぶのですが、下へ降りる時は逆に上に上がるように気持ちに持って行くのです。上に上がる時は気持ちはそのままにするのです。このバランスが、とても、難しいものでした。しかし、この運転は、気持ちを込めで運転するので、いつも、うん、うん、と言いいながら運転していました。気持ちで、上に上げたり、下に下ろしたり、するのです。障害物がないところは、実に気持ちがよく、美しい景色を眺めながら飛んでいたのです。こんな夢も暫く続いたのです。死んだ人の夢はきっとタバコ売りして、目の前で起きたむごたらしい体験だったのでしょう。それが、夢となって、あの頃、出てきたのでしょう。そして、空を飛んだ夢は、あの苛酷過ぎる草取りの後の宇宙体験だったのだろうと思いました。しかし、その夢が、今でも、忘れないのですから、私には、強烈なものだったのでしょう。それにしても、小学生の夢としたら、異常でしょう。


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